ジャケットは個人のお手入れだけでは保管が難しく、定期的なクリーニングが欠かせない衣類の一つです。
しかし、クリーニングに出す頻度はどのくらいが丁度いいのか、相場はいくらか、どんな洗い方をしてもらえばいいのかなど迷うところがたくさんあります。
どんなにきれいなジャケットでもまともに洗えずにいると、汚れがたまって傷みやすくなり、見栄えが悪くなるし、衛生的にもよくありません。
ジャケットを長持ちさせるには、素材や汚れの種類に応じた適切なお手入れが重要なのです。
そこでこの記事ではジャケットに合ったおすすめのクリーニングを解説します。
難しいことではないので、読んでいただければカンタンに来シーズンもこれから先も気持ち良く着られるようになります。
目次
ジャケットの適切なクリーニング頻度は「1シーズンに1~2回」
ジャケットをクリーニングに出す頻度は1シーズンに1、2回が最適といえます。
クリーニングに出す適切なタイミングは、衣替えの時期や外回りなどで汗をかいたとき、汚れやニオイが気になりだす前がおすすめです。
衣類は連続使用すると、目には見えないところにも、外からの汚れと体からの汚れが蓄積してくるので、いつの間にか傷みやすくなってしまうものです。
その状態のままクリーニングに出さずにいると、衛生的にも精神的にも良くなく、さらにジャケットの寿命を縮めてしまいかねません。
東京都クリーニング生活衛生同業組合でも以下のように推奨しています。
時間が経つにつれ明らかに汚れの付着量は増えていきます。
そして、汚れが付いたまま過ごす時間が長ければ長いほど、汚れは落ち難くなるばかりか、衣服にさまざまな弊害を引き起こします。
このように自宅でのお手入れだけではなく、1シーズンに1、2回を目安に定期的なクリーニングを行い、衣類を清潔にした状態で保管することが重要なのです。
ジャケットのクリーニングにかかる料金と日数の目安
クリーニングを定期的に利用するためには、自分に合った日数や料金になっているクリーニングを見つけることが肝心です。
そこで店舗型クリーニング・宅配クリーニングの、オプションを省いた1枚にかかる標準的な値段・日数を表にまとめました。
クリーニング店 | ジャケット(スーツ上) | 日数 |
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ホワイト急便 | 553円(全国平均) | 即日 |
ポニークリーニング | 770円 | 翌日 |
白洋舎 | 1353円(紳士) 1155円(婦人) | 即日 |
うさちゃんクリーニング | 638円 | 即日 |
ノムラクリーニング | 1474円 | 即日 |
リネット | 1045円 | 7日 |
キレイナ | 4400円 | 10日 |
ネクシー | 1089円 | 5~10日 |
洗濯倉庫 | 748円 | 14~21日 |
リアクア | 1100円 | 4日 |
※料金・日数は一部店舗で異なる場合があります。
※店舗型は午前中に出す場合の日数です。
ジャケットのクリーニングの平均料金は1,000円〜1,500円程度です。
また、日数に関しては店舗型は即日〜7日、宅配クリーニングの場合は2日〜7日程度が平均日数となり納期に差があるのが特徴です。
そのため、店に寄る余裕がある方、配送料を省きたい方には店舗型、店に行く手間を省くことを優先するなら宅配クリーニングを選ぶのが良いといえます。
素材によって高額になる場合がある
高級な素材を用いた衣類を扱うとなると、値段が大きく変わる場合もあります。
デリケートな素材になるほど、経験豊富な職人がそれぞれの素材やブランドの性質を考慮して洗浄、色修正、修理など、1つずつ丁寧な作業を行う必要がでてくるため、お手入れが難しくなってくるためです。
例えばレザーの場合、風合いを保つため、革の主成分となるタンパク質を損ねないように洗い、乾燥させる際は温度・湿度・時間に細心の注意を払わなければいけません。
素材の状態を見極めて色を補正する作業にも専門的な技術力が問われます。
また、一部だけレザーを用いた衣類も、素材ごとの配慮が難しいため、レザー製品として扱われることがよくあります。
デリケートな素材ほどお手入れが困難で、専門的な知識や技術を要するので、割高になる傾向があるのです。
ジャケットをクリーニングに出すときのおすすめなオプション加工
ジャケットにオプション加工を加えるときは、汚れの状態や、衣類の素材に合わせて選ぶことが重要になってきます。
一般的によく利用しているドライクリーニングや、水洗いクリーニングだけでは対処が難しい汚れも、素材や汚れの状態に応じたオプション加工を施すことで、除去だけではなく、ツヤ・ハリ・風合いといった衣類本来の持ち味を再現したり、予防したりすることが可能になるのです。
選ぶのが難しいかもしれませんが、店の人と相談することで、適切なオプション加工を施すことができるようになります。
より長く快適に着用するには、ジャケットの状態に対して適切なオプション加工を付与することをおすすめします。
襟元の汚れは「シミ抜き」で除去する
肌に直接触れやすく、汗を多く吸い込む襟元にはシミ抜きが適しています。
シミには、様々な汚れが複合している場合が多く、ご家庭での処理が難しいのがシミの厄介なところ。
そういうときにシミ抜きを施すことで、黒ずみや黄ばみといった、皮脂が変色した汚れや汗ジミを除去することができます。他にも化粧品、飲食物などの成分を分析して、シミの種類に応じた処理をしてくれるのです。
肌に触れることが多い襟元にはシミ抜きのオプション加工できれいにしましょう。
汗による黄ばみや臭いには状況に合った「汗抜き加工」を選ぶ
汗抜き加工とは、汗などの水溶性汚れを落とす加工方法です。
特殊な溶液を使って水洗いするため、ドライマークの衣類でも色落ちや型崩れすることなく、汗の汚れも落としてくれるクリーニング方法です。
さらに、汗汚れ以外にも食べ物や飲み物などの水溶性の汚れを落とすことができます。
ジャケットのように水洗いできない衣類はドライクリーニングを利用するしかありませんが、ドライクリーニングの性質上、汗による汚れや臭いは取り除くことがでません。
そのため、汗抜き加工が必要となるのです。
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外回りが多いなら「撥水加工」を検討する
外回りが多い方や汗が気になる方には撥水加工がおすすめです。
汗の他にも、雨や飲料といった水分をはじくことができて、傷みを軽減させる役割があります。
市販で買われている撥水スプレーよりも水をはじく効果があり、繊維までの吸収を未然に防ぎやすくなるのです。
また、防水加工のような、繊維と繊維の間に空気や熱が通らなくなり、ジメジメした不快感があったり、蒸れやすくなったりする心配もありません。
通気性を保つこともできるので、湿気による縮みやカビの発生を未然に防ぐ役割もあります。
繊維の裏側にも水の浸透を防ぐ成分が含まれた「防水加工」とは異なり、撥水加工は生地の表面に、水をはじきつつ熱や空気を通せる成分が付着しているためです。
懸念点は、水を完全に防ぐわけではなく、効果も永久的に持続するわけではないことです。
また、新たにクリーニングに出すと効果がなくなってしまったり、撥水加工を繰り返すと傷みやすくなったりします。
撥水加工を施すのに用いられるフッ素化合物(PFC)には、体に影響を及ぼす可能性を懸念する声もあります。
しかし、服装に関するビジネス情報を発信している繊研新聞社にて、体により安全な「C6」や「非フッ素」といった撥水加工が注目されているという解説もされており、今後も更なる開発が期待されているといった状況です。
使用頻度によっては持続時間が変わり、一年以上保てることも可能です。
水分の汚れが気になるようであれば店の人に安全性や持続力を確認するなどして、適切な撥水加工を選べるように慎重に検討しましょう。
静電気を防ぐなら「リファイン加工」がおすすめ
リファイン加工は静電気を防止する働きがあり、特に摩擦が発生しやすい衣類に効果を発揮します。
衣類に含まれた栄養分を再添加することによって、繊維にトリートメント効果を与え、まるでシャンプーをした髪をうるおすように素材の滑らかさを引き出せることから、洋服のエステティックとも呼ばれています。
また、光沢、風合いを再現し、紫外線から守る役割も備えています。
着用を重ねて失われた機能、外観、肌感などを再現する働きがあるのです。
なかでもおすすめなのがカシミヤ、高級メリノウールといった、風合いが持ち味である動物性繊維ジャケットなどは生地の特質を活かした柔らかい仕上がりになります。
静電気によって着るのが辛くなったり、衣類を新品のような状態にしたかったりするならリファイン加工を取り入れてみましょう。
クリーニングから戻ってきたジャケットの管理方法
カビや虫食いを防ぐには湿気を避けるのがポイント
ジャケットを保管する際は湿気を避けることが大事です。
特にウールなどの動物性繊維は虫食いが発生しやすい素材なのでより注意を払う必要があります。
対策を怠ると、湿気がたまりやすくなり、カビや虫食いの原因になります。
マンションなど密閉性のある室内は特に、乾燥剤を使ったり、定期的にクローゼットを開放したりするなどの工夫が必要です。
さらに防虫剤は、ブラッシングでは落とせない虫に効果的です。
肩に丸みのあるハンガーを使うのも実は効果的で、素材同士の密接を防ぐことができるのです。
汚れが気になるようなら固く絞ったタオルで優しく叩くように拭いた後、乾いたタオルで水気を取り除きましょう。
夏や密閉空間など、湿気が多い時期や場所でのジャケット保管には特に注意しましょう。
ブラッシングの頻度は週に一回がおすすめ
週に1回程度、ジャケットのブラッシングを行うことをおすすめします。
ブラッシングを行うことで、繊維の質を保ちつつチリやゴミを取り除くことができるようになるのです。
すぐには効果が実感できないかもしれませんが、続けるうちにジャケットをクリーニングに出す頻度が低くて済むようになり、お金をかけずに長持ちさせる効果が徐々に表れてきます。
また、テカリやアタリ(つぶれてツルツルになった生地に光が反射する現象)を未然に防いで、生地の繊維を整えることで風合いを復活させる効果もあり、毛玉が出にくいといったメリットもあります。
粘着テープでホコリを取る方もいらっしゃいますが、それだけでは生地の目についている汚れまで行き届かないため、効果が不十分といえます。
一方、ブラッシングは、繊維の間まで汚れを取り除きつつ、間に空気が入り込むことによってシルエットを保ち、型崩れを防げる効果もあるのです。
ジャケットのブラッシングの手順
ブラシの種類は、獣毛タイプがおすすめです。
生地を傷めにくいしなやかさがあり、静電気が起きづらいといった特徴があります。
例えば馬毛や豚毛といったブラシが代表的です。
ブラッシングの主な手順・ポイントをご紹介します。
step
1ジャケットをハンガーにかける
このとき、型崩れをしないようにジャケットを着用したときと同じシルエットになるハンガーを選ぶと良いでしょう。
step
2下から上へブラッシングする
ブラシをジャケットに垂直に当て、下から上に軽くブラッシングして、繊維の奥のほこりを浮かせます。
step
3生地の流れに沿って一定のリズムでブラッシングする
ポンポンとホコリを払い落とすようにブラシを動かします。ゴシゴシとこすると、毛が抜けたり、ホコリが奥へ押し込まれたりして生地が傷むおそれがあるので力加減を意識しましょう。襟裏やポケットの内側も忘れずにブラッシングしましょう。
正しいケアを続けられるかどうかで、着心地や風合い、外観の持ちに差が出てきます。
家庭では処理しきれない汚れにならないようにすることで、クリーニング代の無駄遣いをせずに済み、出費を抑えながら長く愛用できるようになるのです。
まとめ
この記事の内容をまとめると以下の通りです。
- ジャケットのクリーニングは「1シーズンに1~2回」
- クリーニング料金は1,000円〜1,500円程度が相場
- ジャケットの用途に応じてオプション加工を検討
クリーニングに出した後に、何か損失があっても原因がわかるようにしておく必要があります。
例えば貴重品がポケットに入っていることに気づかずにいると、店員がお手入れする際に貴重品を紛失したりしても、利用者側が事態を把握することは困難です。
店ごとにサービスの形態が変わってくるので、適切なクリーニングを探すのが難しいかもしれませんが、この記事を参考になればと思います。